こんにちは、anfieldroadです。
新年度になってすぐ土日が入るのは、ちょっと気持ちが軽くなっていいですね。来週からに向けて一息入れて、気持ちよくスタートしたいですね。そんな中、私は新入生ガイダンスに行ってまいります。(今日はそんな電車の中で書いています)
「ざっくり読む」を評価する場として
では〔思考・判断・表現〕という観点では、具体的に何をどうやって評価するのか、という話をしましょう。国研の『参考資料』ではそれらについて、話すこと、書くことの〔表現〕系と、聞くこと、読むことの〔理解〕系の2つに分けて、整理されています。
どちらにも共通して「日常的な話題や社会的な話題について」と「コミュニケーションを行う目的や場面、状況に応じて」という条件がついています。
〔理解〕系については、これまで目標を分析してきた中でも触れたように、全部細かく和訳するような読み方ではなく、ざっくり読んでポイントを理解することを強調しています。「正確に読む」という文言が消えてしまったことを[015]で指摘しましたが、その意味では、〔知識・技能〕では、ある程度「正確さ」にこだわった評価をしてあげて、〔思考・判断・表現〕では、ざっくりと読む力(「適切さ」)を評価してあげるようにすると、バランスがよいかも知れません。
「目的」があれば「工夫」が生まれる!
一方で、〔表現系〕はもう少し複雑です。前号で書いたように、「適切さ」が関わるのは、
①コミュニケーションの最初の一歩となる相手やお題への正対
②コミュ二ケーションの仕上げとしてのやり取りを豊かにする個性や工夫
という2つのフェーズです。
①については、[017]で「情報を整理する」ことについて書いたときに、自己紹介の例を挙げました。「自己紹介する」と一口に言っても、場面や目的によって話す内容は変わるよね、ということです。言ってみればWhat to speakの話です。
一方で②はHow to speakの話です。目的や場面によって「言い方」も変わりますよね。ここでいう「言い方」は、声の大きさやスピードから、必要に応じての繰り返しや手振りや表情などを用いての強調、わかりやすい論理構成や話を盛り上げるための意図的な順番の入れ替えなど、多種多様です。
〔理解〕系も含めて、すべてに共通しているのは、「目的」の重要性です。目的があれば工夫が生まれるので、その工夫を評価してあげることができます。ただプレゼンをさせるのではなく、事後に全発表の中からよいプレゼンが選ばれる(アイデアが採用される)ような場面があれば、プレゼンを考える段階から(つまりWhat to speakの段階から)自然に工夫をするようになるはずです。
私がよくやっていたのは、旅行代理店の社員になってグループごとにALTにオススメ旅行プランを提案する→ALTが〔契約〕〔保留〕〔却下〕で判定する、みたいな活動です。ここでは目の前のそのALTに気に入ってもらうことが「目的」なので、ALTの趣味を聞いてNBA観戦ツアーを組むグループや、好きな食べ物からオージービーフ食べ放題ツアーを組むグループなど、内容も含めて多様なアイデアが引き出せました。
夏休みの読書感想文が難しいのは、目的があいまいだからで、Amazonレビューを書いて「このレビューは参考になった」に★をもらうことを目的にしたら、書き方が変わると思います。そんなイメージです。きっと、受け取りてに選んでもらう、評価されるという緊張感が工夫を生み出すのだと思います。ただし、英語の正確さではなく、内容と表現の工夫によって評価される仕掛けにすることが大事です。(もちろん、正確でないと読んで・聞いて理解してもらえない、というのは前提として指導します)
すべての活動に場面や目的を設定するのは大変です。授業時間が限られている学校の英語授業ではドリル的な活動も必要だと思います。でもそのドリルの先に(単元末などに)英語で内容を伝えて誰かに選んでもらうというゴールが設定されていると、ドリルの質も変わってくると思います。生徒が思わず夢中になる仕掛けを考えてあげたいですね。
新しい学習指導要領についてはいろいろ思うところはありますが、〔思考・判断・表現〕が設定されたことに関しては、教師の側がうまく工夫をすることで、先生方が望む授業を実現させていくための足掛かりになると思っています。そんな観点になるように、上手にみんなで育てていきたいですね。