こんにちは、anfieldroadです。
この週末で2月が終わるなんて信じられません。大学入試・高校入試も大詰めを迎えて、生徒も先生方も気が休まらない時期ですね。それぞれがベストを尽くすことができて、心穏やかに3月が迎えられますように、お祈りしております。
「何を話すか」は相手次第で変わる
新学習指導要領の目標で使用されているキーワードを分析して、求められている力や期待されている活動などを考えています。本日取り上げるのは、話すこと・書くことのイで登場する「事実や自分の考え、気持ちなどを整理し」という表現です。
これについて『解説』では、このように説明されています。太字は筆者です。
事実や自分の考え,気持ちなどを「整理」するとは,聞き手が理解しやすいように伝える項目を精選したり適切な順序に並べ替えたりするなど,話す内容をまとめ,コミュニケーションの見通しを立てることを意味している。(話すこと[やり取り]・[発表])
事実や自分の考え,気持ちなどを「整理」して書くとは,事実やテーマから想起される自分の考えや気持などを整理したメモなどを基にして書くことである。(書くこと)
「伝える項目を精選」というのはつまり「何を話す(書く)かを決める」という誰でもやっている当たり前のことです。これが重要になってくるのはなぜなのでしょうか?
思考力,判断力,表現力等のポイント
実は『解説』の目標セクションには、これしか記載がありません。さらなる情報を求めて『解説』の内容セクションも見てみると、こんな見出しが目に入ります。
そうなんです、実はこの「整理」という考え方は、〔思考力,判断力,表現力等〕という観点の割と中心的な要素と言えると思います。その具体的な活動パターンは、以下の3つにまとめられています。
ア.英語を聞いたり読んだりして必要な情報や考えなどを捉えること
イ.英語を聞いたり読んだりして得られた情報や表現を,選択したり抽出したりするなど して活用し,話したり書いたりして事実や自分の考え,気持ちなどを表現するこ と
ウ.伝える内容を整理し,英語で話したり書いたりして互いに事実や自分の考え,気持ちなどを伝え合うこと
この中で「整理」が関わってくるのは内容イと内容ウの活動になりますが、先程の目標イと一致しそうなのは内容ウになるでしょうか。(内容イは「聞いたり読んだり→話したり書いたり」と統合的な活動になるので、目標ウに該当します)
ここではあくまで「話すこと」「書くこと」という表現のために、情報を整理・吟味することが求められていますが、
外国語によるコミュニケーションを行う目的や場面,状況などに応じて,情報を捉え,それを整理したり吟味したりしながら思考を深めることで,自らの考えを形成したり深化させたり,さらに表現を選択したりして「論理的に表現」することを重視する。
とも書かれているので、やっぱり重要なのは「目的」だと思います。つまり、誰に向けてなんのために表現するのか、ということです。
例えば、自己紹介をすると一口に言っても、相手や場面が変われば言うべきことは変わってくるはずです。入学した高校で出会ったALTの先生相手なら「埼玉県出身だ」と言うかもしれませんが、海外の街角で出会った人が相手なら「東京の近くから来た」という言い方になるでしょう。日本の地名をよく知らない人に「埼玉」という言葉を言っても意味がないからです。そういう内容や語彙の選択こそ、〔思考力,判断力,表現力等〕の中心にある「整理」という考え方なのではないかと思います。
自己紹介のような、簡単に思える活動であっても、相手や場面が設定されていれば、よりよく伝えるために工夫が生まれます。逆に言うと、それらが設定されてないと何でもありになってしまうので、評価のしようがありません。生徒に何かを考えさせるときは、このような設定をしっかり決めることが重要になりますね。
高校入試問題についてああだこうだ書くのも好きなので、それはブログのほうでそのうち書くかも知れません。こちらは昨年度の問題を見てのブログ記事。→ 2020年度埼玉県公立高校入試問題のライティング問題から読み取るメッセージ(英語教育2.0)