こんにちは、anfieldroadです。
学期が始まって忙しくなると、新しいことを始めたくなります。最近だと JavaScriptとGithubを勉強したいと思い始めました。夏休みになったらやろうと先送りしたい気持ちと、今すぐ取り掛かりたい気持ちに揺れています。でも、そういう前向きな衝動は、春ならではかも知れませんね。
このNewsletterでも5月から新しい取り組みを始める予定です。どうぞお楽しみに。
「評価」の話は繊細である
前号では〔主体的に学習に取り組む態度〕について、これまでの〔コミュニケーションへの関心・意欲・態度〕での事例になりますが、具体的な評価方法の例を紹介させていただきました。「評価」の話って繊細な問題なので、特に指導主事や管理職の方はよかれと思って自分の考えを述べてしまうと、「◯◯先生がこれでいいって言っていた」と別の人に名前を「利用」されてしまう可能性があるので、どうしても慎重になりがちです。
でも、[027]でも書いたように、私は評価の観点というのもは、教師が現場で試行錯誤を繰り返しながら「育てていくもの」だと思っています。「誰かがこう言っていた」ではなくて、「私はこう思う」という考えをお互いに出し合って、教科・学年・学校で整えていくものだと思います。生徒の頑張りがちゃんと評価されて、ポジティブなサイクルが回っているかを確認できるのは、現場の先生だけです。生徒や保護者に説明する意味でも、先生方が自分の言葉で言語化しておくことも大事ですね。
さて、〔主体的に学習に取り組む態度〕については、以下の2つの評価ポイントが想定されていて、1つめの「粘り強い取り組み」というのが、この観点のメインになります。
国研の『参考資料』なんかを見ても、〔主体的に学習に取り組む態度〕に関しては、〔思考・判断・表現〕とセットで一体的に評価する、というのが強調されていて、評価例を見ても、「〜している(思)」「〜しようとしている(主)」というように、文末だけが違う例がたくさん提示されています。なので、私も上の図解の中で「〔思考・判断・表現〕を伸ばす活動中の生徒の様子を観察」と書いていますが、実は資料をよーく読んでみると、全教科に関する「総説」の中では、
知識及び技能を習得したり,思考力,判断力,表現力等を身に付けたりするために,自らの学習状況を把握し,学習の進め方について試行錯誤するなど自らの学習を調整しながら,学ぼうとしているかどうかという意思的な側面を評価することが重要である。(pp.9 -10)
と書いてあるので、「知識・技能の獲得」を目指して活動している際もその対象になると言えると思います。
そう考えると、前号ではあえて〔知識・技能〕に加点する、みたいな遠回りを提案していましたが、〔知識・技能〕を獲得するための努力もきちんと〔主体的に学習に取り組む態度〕の中で評価してあげるべきだと思います。
「主体性」はスキルである
ただし、繰り返しになりますが、だからといって授業態度や提出物を強制するための人質のようにこの観点を使うことは好ましくありません。あるいは、ただ全員に一律にノートに何十回も単語練習させたり、問題集などを何周もやらせたりするような課題はいくらやっても「主体的」には見えません。(私も評価をする際はそれが「教師への関心・意欲・態度」になっていないか、いつも気にかけていました)
あくまで、コミュニケーションの質を高めたい、という思いからの努力を評価してあげるべきです。とはいえ、それって特に中学生には結構難しいことだと思うので、生徒の「主体的」を求めつつも、そのための努力の方法は、教師の側からも提案してあげたり、他の生徒の頑張りをシェアしてあげたりしたほうが良いかな、と思います。
その意味で、「主体性」って「スキル」だよなぁ、といつも感じています。「主体性があることを相手に伝えるスキル」です。だから、教師は生徒にまずはその術を身につけさせてあげた上で平等に評価したいですね。じゃないとそれこそ「人間性」になっちゃいますから。
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