こんにちは、anfieldroadです。
明日(もう日付が変わっているので今日ですが)は、勤務校のオープンキャンパスがあるので、高校生を相手に体験授業をしてきます。教育や英語に関心を持ってくれて、(弊学でなくてもいいので)英語科の教員を目指してくれる学生が増えるといいなと願っています。
4観点から3観点への「読み替え」
今号から観点を1つずつじっくりと検討していきますが、最初に取り上げるのは〔知識・技能〕です。『「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料』(以下『参考資料』)をベースに見ていきます。
単純にこれまでのものを読み替えられるということではないとは思いますが、「これまでの4観点で言うとどれに当たるのか」と言われたほうがわかりやすい方もいると思うので、あえて4観点から3観点への「読み替え」を図解してみました。
〔知識・技能〕については、ベースになるのはやはり〔言語や文化についての知識・理解〕です。ここは英語の構造的な理解や語彙の習得状況などをペーパーテスト等で測っていたと思います。これはそのまま〔知識・技能〕に移行します。
あわせて、〔外国語表現の能力〕と〔外国語理解の能力〕の中の〔正確さ〕に当たる部分が〔知識・技能〕に移行してくる、と考えるとわかりやすいのかなと思います。(ちなみに〔適切さ〕に当たる部分は〔思考・判断・表現〕に移行します)
それらがそれぞれ〔知識〕と〔技能〕を形成して、2つ合わせて〔知識・技能〕となるイメージです。
〔知識〕は何を評価するのか?
『参考資料』のp.30にある【観点ごとのポイント】をまとめると、〔知識〕と〔技能〕がそれぞれ扱うことは以下のように整理できます。
〔知識〕で扱うのは、学習指導要領の「内容」で提示されている事柄を理解しているか?」ということです。みなさんもご存知かと思いますが、学習指導要領の「内容」は〔知識及び技能〕に関しては、下図のようにほぼ文法事項が羅列してあるだけです。
ですので、これらがきちんと理解しているかが確認できればOKです。
やっかいなのは、前回まで見てきたように、新しい評価の枠組みではどの観点も〔内容のまとまり(つまり5つの領域)〕を土台にしているので、この〔知識〕に関しても、「書くこと」や「読むこと」などのどれかの領域に位置づけて評価をする必要があります。
ただ、『参考資料』を見ても、〔知識〕の評価規準については5つのどの領域についても
英語の特徴やきまりに関する事項を理解している。
としか書いていないので、どういう形式でテストをするかによって決めるしかないのかな、と思います。そうなると、おそらくほとんどの場合「書くこと」に位置づけられることになるような気がします。そしてその場合、「話すこと」「読むこと」などの他の領域で〔知識〕が測られていなくても仕方がないのかな、と思います。
リスニングテストや英作文テストなどは具体的なスキルにおける正確さを評価することになるので、ペーパーテストで測るとしても〔技能〕になります。こちらについては次号で詳しく取り上げます。
新しい評価の枠組みを考えると、「関連付ける」「活用できる」みたいなフレーズに目が行きがちですが、この〔知識〕という観点ではしっかりと基礎・基本が定着しているかを指導・評価していくことが大事だと思います。
感染症についてはまだまだ警戒が必要な情勢ですので、対面での体験授業は非常に緊張します。安全に十分に配慮して授業をしようと思います。
学習指導要領の改訂に深く関わってきた者です。
大変、ご無礼とは思いましたが、下記の点、誤解があるのではないかと思いまして見ず知らずの方に申し訳ないのですがこちらにコメントさせていただければと思いました次第です。
ご説明、とても的確に的を得ていると思いますが最後のこの部分だけ、そうではないことを申しあげたいと…。
『そうなると、おそらくほとんどの場合「書くこと」に位置づけられることになるような気がします。そしてその場合、「話すこと」「読むこと」などの他の領域で〔知識〕が測られていなくても仕方がないのかな、と思います。』
ご指摘の通りなのですが、ペーパーテストの場合、先生方には誤解されやすい面があるのだと思いますが、
例えば、ペーパーテストの中でも知技と思判表は半々に近くなることもあります。まだ、改訂前の感覚が残っている学校では、知技の割合が高くなることが多いかもしれません。例えば「並び替え」の問題について全て知技に考えられがちですが、品詞の性質やイディオムや単語の意味を正確に理解して並び替えることができるは知技、文脈を読み取って段落を並び替えら場合には思判表になります。
同じようにリスニングの問題でも、例えば写真や絵をの内容を正確に英語で表現するだけなら知技でも、写真や絵の中身についての英語を聞いて考えて判断して表現するものは思判表になります。
若い先生方が誤解されないようにと思って差し出がましいとは思いつつどうしても一言申し上げたくなりました。どうぞお許しくださいませ。