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関東圏では緊急事態宣言の発令も近づいています。新学期もスタートして、入試シーズンでもあり、(関東圏に限らず)学校現場は緊張が続いていますね。勤務校は、発令後も対面授業を継続すると発表しているので、私も十分に注意して授業をしたいと思います。(通勤のほうが不安ではありますが…)
パブリック・コメントから考える①
さて、前号では新学習指導要領について、英語科における改訂のポイントをざっくりご紹介しました。学習指導要領の改訂にあたっては、案が公示された2017年2月から約1ヶ月間、広く国民からパブリック・コメントを受け付けていました。私は当時、中学校教諭をしていましたが、案を読んで気になったことを3通、パブリック・コメントとして提出しました。
ということで今号からは、その際私が書いたパブリック・コメントをご紹介しながら、私が新学習指導要領について疑問に思っていることなどを共有していきたいと思います。
「目標は」それでいいのか?
それでは、当時提出したパブリック・コメントの1つめです。
今読み返してみると、「一定の評価ができます」などとたいそう偉そうな物言いで、自分の文章ながら面白いですね。ただ私は当時も今も、現場の教員は文科省に対して対等に意見を主張していい(するべき)だと思っているので、そういった信条の現れた文面だとご理解ください。
さて、今回取り上げたのは「目標」です。小学校の外国語活動、外国語、中学校、高校と読み比べると、少しずつ文言を変えながら、文科省なりに階段状に目標を設定していることは読み取れます。
例えば、「聞くこと」で言えばこんな感じです。
「外国語活動 · 外国語の目標」の学校段階別一覧表
ただ、コメント内でも書いているように、私はもっと具体的な基準を文科省が示すべきだと思っています。それは別に学習指導要領でなくても、「解説」や「評価資料」みたいなものでそういった基準が示されればいいなと思っていましたが、残念ながらそのような基準の提示はありませんでした。
私はよくワークショップなどで、「中学校3年生卒業時に英語の成績3をもらう生徒」の英語力を先生方に具体的に考えてもらっています。中学校の先生と高校の先生では結構イメージが違っていて興味深いのですが、実は中学校の先生同士でもかなり違うものです。
もちろん、ここを統一していくことはとても難しいと思います。高校の先生方はそんな「同僚問題」に頭を悩ませていらっしゃる方も多いかも知れません。でもそれは文科省がちゃんと示さないから、大学入試とか英検みたいな「わかりやすいもの」が基準になってしまっている現状もあると思います。教師がCan-Doリストを考える作業自体は教員養成や研修としては意義がありますが、日々とても忙しい先生方には、「登る山の選定」よりも「登り方(登らせ方)」に頭を使ってほしいと思っています。
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[004] 「目標」はそれでいいのか?
コメントありがとうございます。文科省がいろいろ決めちゃったら決めちゃったで私は文句を言いそうではあるので、教師の側で自主的にそのへんのコンセンサスを作っていくことが大切でしょうね。難しいとは思いますが、それぞれの先生方が自分の考えを表明できる場があるといいなと思っています。
高校で教員をしている者です。
「登る山の選定」よりも「登らせ方」に頭を使うのが我々の仕事だという先生のご意見に全面的に賛同します。また、パブリックコメントという形で声をあげてくださったことに感謝いたします。
指導をする人間とマネジメントをする人間は異なるのが本来の姿ですよね。企業でも、現場の人が経営理念を決めるといったことはないはずですし…
文部科学省があらゆる事に対して「現場の判断に委ねる」として、リーダーシップをとらない例を示してしまっているなあ、と常日頃思います。
記事を読んで、そんな状況でも今日も闘っていこうという気持ちになれました。