こんにちは、anfieldroadです。
夜分の配信にて失礼いたします。また個人的な事情でしばらく配信が滞っておりました。そのあいだに各地の中学校では新観点になってはじめての1学期の通知表が出され、出す方ももらう方も、いろいろ考えた学期末だったのではないかと思います。当Newsletterでは、引き続き、評価と指導のあり方についてみなさまのお声を聞かせていただきながら考えていきたいと思っています。
各地でさらに広がる「解釈」の幅
前号で話題にした、通知表の評定組み合わせのお話はとても反響が大きくて、その後も各学校のローカルルールを様々お寄せいただきました。
なかでも印象的だったのは、「12通りどころではなく、うちでは7通りだけ」という事例と「3観点は難しいから、それぞれを2つに分けて6観点で評価し、通知表には3観点で提示」という事例です。
ちなみに前者の「7通り」というのはAAA 、ABA、BAA 、ABB、BBB、BBC、BCC 、CCC という7パターンのようです。ここまでくると、データを集計するより、Yes/No枝分かれチャートで評定を出した方が、冗談じゃなく早そうですね。
また、後者の「6観点」というのも、「知識」「技能」「思考判断」「表現」と分けていくみたいなのですが、「主体的に学習に取り組む態度」だけどう分けてるのか伺いそびれてしまいました。たぶん「粘り強さ」と「自己調整」なのではないかと勝手に推測してます。これはこれで、迷うところが多そうな気もします。特に「思考判断」と「表現」に分けてしまうことによる弊害は多そう。
各学校における創意工夫といえば聞こえはいいですが、伺ってる中には拡大解釈とも言えそうなものも見受けられるので、この部分は文科省がちゃんと統一された現実的な枠組みを提示するべきだったようにも思います。
本当は27通りすべてOKなはず
そもそも、本来27通りあるABCの組み合わせは、すべてのパターンが認められるべきだと思います。それが認められないとすると、①3つの観点には序列がある、②3つの観点は同じものを測ってる、という可能性があるということで、それは健全な評価の枠組みとは言えないと思います。
ただ、どうも少なくとも①に関してはそうなってしまっている現状はあるように思います。様々な公的な資料で、「〔主体的に学習に取り組む態度〕は〔思考・判断・表現〕に準ずる」と取れる文言が示されてるので、そのせいで上記の「出してはダメなパターン」が忖度されてしまったのだと思います。
でも、おそらくそういった判断の根拠となっていると思われる平成31年に中教審が出した「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」を改めて読んでみると、こう書かれています。(pp.12-13, ハイライトは筆者)
つまり、「CCAやAACみたいな生徒が出たらきちんとフォローしてあげたり、自分の授業をよく見直して改善してね」ってことですよね。だから、別に通知表でCCAという評価を「出してはいけない」ということじゃないと思うんです。「これって教師の指導力不足なんじゃないか」と言われてしまうことを過度に危惧した管理職による自己防衛のための拡大解釈が蔓延しているのだと思います。そのために、通知表に載せる直前に成績を「修正」させるほうが、教師の指導と評価のスキルを伸ばすことができなくなってしまうし、生徒が本当は抱えているはずの課題も解決できないままになってしまいます。
無用の混乱があるのは困るのですが、教師が目の前の生徒を見ながら、適切な評価体制を整えていくことが今年の目標だと思うので、様々な課題を共有しながら先生方が試行錯誤できる環境が整って欲しいものです。