こんにちは、anfieldroadです。
先日は、某私立高校にお呼ばれをして、高校3年生向けに「出張講義」をしてきました。教師という職業や英語教育という分野に興味を持ってくれる生徒さんが1人でも増えたらいいなと思って一生懸命お話をしてきました。これも、「教員免許を持っている人を増やす」ための地道な活動かも知れませんね。お呼びいただけるところがあれば、(私でよければ)喜んで伺いますので、よかったらお声かけください。
2つの視点を重ねてみると
私が大学で担当している教職課程の授業では、世界における「言語教育」的視点と国内における「学習指導要領」的視点の両方から「コミュニケーション能力」の考え方や指導法を紹介するようにしています。そうやって整理してみると、今回の改訂で新しい3観点が示されたことで、その2つが結構重なって見えるようになってきたな、と感じることが多いです。
例えば、Canale (1983)で示されているcommunicative competenceを構成している4つと、今回の3観点を並べてみます。
この中で、比較的近いと思われるものを重ねてみると、こんな感じになります。(もちろんそのままイコールではありませんが、重なる部分がありそうなものを近づけて整理しています)
②に関してはちょっと説明が必要ですね。
②のstrategicは〔主体性〕というよりはこれまでの〔コミュニケーションへの関心・意欲・態度〕に近いかも知れません。〔関心・意欲・態度〕って心の中で思っているだけで人に伝わらないと意味がありません。だから、それを伝えるための「スキル」が必要になります。そういう意味で、コミュニケーションが途切れたときに修復したりするようなstrategicな力を、ここでは〔主体性〕を並べて整理しています。(今回の〔主体性〕はもっと広そうな感じですけど)
〔思考・判断・表現〕の指導にはTBLTを
面白いのは、③と④です。
③のsociolinguisticは場面や相手に応じて「適切に」コミュニケーションをする力ですし、④のdiscourseも対話の流れやスピーチの構成を目的に合わせて工夫する力です。まさに今回の〔思考・判断・表現〕と重なりますね。
この〔思考・判断・表現〕の指導や評価には、これまでの正確さだけに重きをおいた指導法・評価法では扱うのが難しいように思います。使用する言語材料等も縛らないとなると、どのように指導していいか、戸惑う先生も多いかも知れません。
私はこの〔思考・判断・表現〕を伸ばすためには、Task-based Language Teaching(TBLT)という指導法がぴったりだと考えています。生徒に解決すべきタスク(課題)を与えて、持てる英語力を総動員して、時に仲間と協力しながらタスクの解決を目指します。
ここで言う「タスク」とは、例えばお互いに絵を見せ合うことなくペアで2つの絵の間違いを探したり、複数の自己紹介文を呼んで自分が教わりたいオンライン英会話の先生を選んだり、といったもので、何らかの目的を達成する手段として英語を使用する、という経験を積むことが出来ます。
ということで、教職課程の授業でもTBLTを取り上げて、理論や活動例をいろいろ紹介していますし、TBLTで模擬授業も取り組んでいます。学生の様子も含めて、このNewsletterでも今後TBLTについて少しでもお伝えできればと考えています。
ちなみに昨年度のゼミでは『タスク・ベースの英語指導―TBLTの理解と実践』という書籍をテキストにして、理論と実戦を学びました。