こんにちは、anfieldroadです。
話題のClubhouseを少しだけ試してみましたが、音声はなんだか緊張しますね。私は書くほうが気楽に発信できる気がします。文字にしても音声にしても、みなさんと意見交換するような場所があると嬉しいですけど。
「日常的」と「社会的」の違いとは?
引き続き、各領域の目標について細かく見ていきましょう。前回まとめた領域別の目標マトリクスはこちら。
今日は「話題」について、取り上げてみます。
各項目の先頭には、「日常的な話題」「社会的な話題」という語が登場します。「関心のある事柄」という語も登場しますが、今日は「日常的」と「社会的」だけ取り上げてみます。前号でも書いたように、それぞれのキーワードは文科省的な定義は「解説」にて示されています。
まず「日常的な話題」については、「生徒の日々の生活に関わる話題のうち,生徒にとって身近な学校生活や家庭生活などにおけるもの」で、具体的には、以下のとおりです。
学校行事における係分担の説明や持ち物等の連絡,天気予報,交通情報など(聞くこと・ア)
最も思い出に残っている学校行事や自分の好きなことなど(聞くこと・イ)
学校での予定,製品の取扱い方など(読むこと・ア)
外国の中学生が紹介する学校生活のことやALTが旅行中に体験したことなど
(読むこと・イ)生徒自身や家族に関すること,生徒の興味・関心の対象となることや社会生活で必要なことなど(話すこと[やり取り][発表]・イ)
基本的で個人的な情報から始まり,住んでいる場所や部屋の様子,行きたい場所,家族や友人,所有しているもの,好きな動植物や飼っているペット,学校生活や家庭生活における出来事など(書くこと・イ)
では、「社会的な話題」はというと、「社会で起こっている出来事や問題に関わる話題のこと」だそうで、具体的には
エネルギー問題や国際協力など(聞くこと・ウ)
自然環境問題や平和問題など(読むこと・ウ)
エネルギー問題や環境問題など(話すこと[やり取り]・ウ)
人権問題やICTの普及など(話すこと[発表]・ウ)
他教科等でも扱われる自然環境,世界情勢,科学技術,平和など(書くこと・ウ)
となっています。
こうして並べて見てみると、「日常的」にせよ「社会的」にせよ、教科書の読み物の題材にも出てきそうなトピックですね。特に「社会的」に関しては、中学校3年生の教科書でよく扱われている話題ですよね。むしろ教科書にこういう題材を載せろ、と文科省が指定しているようでもあります。
実は現行の学習指導要領では、「話題」についてはあまり触れられていなくて、特に目標の部分では、何について聞く/話すのかについては、ほとんど示されていませんでした。せいぜい「書くこと」の中で「身近な場面における出来事や体験したことなどについて」という表記があるくらいです。
中学校学習指導要領 比較対照表(文部科学省)
「社会的な話題」で学ぶこと
さて、こういった話題を扱う際に、気をつけたいことを整理しておきます。
話題の中身そのものより、話題が変わることで使用する英語にどんな変化が生まれるのか、ということに着目するべきでしょう。つまり、「社会的な話題」だからといってgreenhouse gassesとかapartheidみたいな単語を覚えさせよ、という意味ではないはずです。
例えば、「日常的な話題」のときにはIやYouを中心としたやり取りでよかったものが、「社会的な話題」になると、WeやTheyを使った文が増えてくると思います。主語が大きくなるだけで、内容を理解するのが難しく感じてしまう生徒もいるので、そのあたりへの「慣れ」をどう作るかが重要ですね。
また、「社会的な話題」になると、どうしてもabout 34% of the energyとかequal rights for non-whites in the U.S.のような長い名詞句が登場するようになります。このへんの処理も、苦手とする生徒が多いと思います。
上記の目標のウは、別に「3年生になったら達成する目標」ではないと思うので、話題がどうであれ、1年生の段階から取り組んでおく必要があります。
「食べ物」みたいな「日常的」に思える話題でも、WeやTheyを使って考えるタスクであれば、自分の好みだけではない話を語る練習ができます。(3人組で、ルームメイトという設定で、スーパーのちらしを見ながら、合わせて500円の所持金で夕飯のために何を買うかを話し合う、なんてタスクもできますね)
また、1年生の教科書の最初のほうでも、some pictuires of my familyやa letter from N.Y.といった名詞句が出てきます。この時に構造を説明する/しないはどちらでもいいと思いますが、3年生になったときの学習を教師がイメージして指導できるかが重要になると思います。
話題の種類に流されずに、学習者が実際に英語を使って何をしているのか(教師がさせているのか)をしっかり見極めて、指導を考えたいですね。
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