こんにちは、anfieldroadです。
本日は勤務校(勤務学部)の卒業式です。大学に移って2年ですので、2年間ゼミや教職の授業で関わってきた学生たちが巣立っていきます。大規模な式典はありませんが、最大限の祝福を伝えて、送り出していきたいです。
〔技能〕は使用における正確さの評価
前号では、新しい評価観点の〔知識・技能〕の中の〔知識〕について解説しました。今号では、もう1つの〔技能〕を取り上げます。
〔技能〕は、これまでの観点でいうところの〔外国語表現の能力〕と〔外国語理解の能力〕の中の「正確さ」に関わる部分だと考えるとわかりやすいかと思います。
つまり、実際に「聞くこと」「読むこと」「話すこと(2種類)」「書くこと」をさせた上で、その言語使用が正確にできているのか、ということを評価します。ですので、例えばスピーチ発表(話すこと[発表])やペアによるチャット(話すこと[やり取り])、英作文(書くこと)など、授業中の活動・発表やパフォーマンステストなどの場面で、正しい英語で表現できているかを評価します。
「聞くこと」や「読むこと」においては、正しく内容を理解できているかを測るので、こちらは授業中以外にも、リスニングテストや読解テストなどの定期テストなどでも評価できます。
「ハイパー空気読み大会」の足音が聞こえる
気になるには(よく話題になるのは)、国研の『「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料』にも書かれているこの一文です。
ピンクに網掛けした「言語材料が提示された状況ではなく」という部分は悩ましいですね。これはつまり「不定詞を勉強しているので不定詞を使って欲しいけど、『不定詞使って言え!』とは生徒に言わないで、生徒が使えるかを評価しろ!」ってことですから、なかなかの無理ゲーだと思うんです。生徒にとっても、教師にとっても。
だって要領のいい生徒だけが得をする(評価される)のは不公平ですし、英語の授業が「ハイパー空気読み大会」になってしまうのは嫌じゃないですか。
ちょうど大修館『英語教育』2021年3月号にも書きましたが、そもそも習ったばかりの表現をすぐに使わせる(使えるかを評価する)ことがナンセンスなので、あまりそこにこだわらなくてもいいのかな、と思います。
むしろこの観点では、この単元より前に学習した表現が正確に使えるように指導・評価することに重きをおいて、この単元で学習中の表現については「使えたらa評価」くらいのボーナスポイントにするくらいに留めたい感じもします。
ただし気をつけなければならないのは、上記のように「コミュニケーションの成立をゴールにする」とか「既習表現の適切な使用」のほうにフォーカスしすぎると、このあと取り上げる〔思考・判断・表現〕という観点と区別がつきにくくなってしまいます。
〔技能〕は原則としては今学習していることを中心に評価していくということでよいとは思いますが、新出事項のウエイトをどのくらいに設定するかは先生方次第です。瞬発力が優れた生徒や塾で先に学習している生徒だけでなく、先生の授業を通してできるようになった(正しく使えるようになった)生徒をきちんと評価してあげられるテストにしたいですよね。
最後に中学校で担任をした生徒たちも、この春高校を卒業します。彼らの未来も、明るく楽しいものであって欲しいです。この春に勤務先の入学式で再会する人がいたりして。(実は昨年度、中3で担任した生徒が勤務先の学科に在学してて再会する奇跡がありました!)