こんにちは、anfieldroadです。
最近、「4月から臨時的任用で働ける方、知りませんか?」というお問い合わせを学校や教育委員会の方からいただくことが増えました。どの地域も教員のなり手が足りず、かなり困っているようです。もし埼玉県東部地区で働ける、という英語教員免許をお持ちの方がお近くにいらっしゃいましたら、ご連絡いただけると嬉しいです。
「まとまりがある」とは「話題が絞られていること」
新学習指導要領の「目標」に登場するキーワードを分析するシリーズ、本日は「まとまりのある」というフレーズを取り上げます。発信にともなうキーワードなので「話すこと[発表]」と「書くこと」の目標イに登場してます。
『解説』では、「まとまりのある」ということについて、以下のように説明しています。(太字は筆者)
改訂前の「話すこと」の言語活動(オ)「与えられたテーマについて簡単なスピーチをすること」と関連があり,例えば 一つのテーマに沿った発表をしたり,内容に一貫性があるスピーチをしたりすることを意味している。小学校の目標にはない「まとまりのある内容」を話すことができるようにするという点が大切である。 (話すこと[発表])
これをみると、「話題が絞られていること」がポイントのようです。サッカーの話をしていたのに、突然牛丼の話になったりしていないか、みたいなことですね。実際にはそんな飛躍したスピーチをする生徒はあまりいないかな、とも思うのですが、難しいのは「私の好きなもの」というテーマだった場合に、「サッカーと牛丼が好きな人」であれば、そういう構成もアリなのか?という点です。
構成が上手で、その2つにつながりが持たせられるような話し手であればよいのですが、中学生に指導するのであれば、あまりジャンルの違うものを並べないように指導するほうが無難でしょうね。複数挙げるなら、せめて「サッカー」の上位カテゴリである「スポーツ」の中から別の競技を挙げるとか、「牛丼」の上位カテゴリである「食べ物」「丼もの」の中から挙げたほうが、「まとまりがある」とは思います。
いずれにしても、そういったカテゴリの上下を行ったり来たりする発想は、ものごとを考えたり、整理したりするのに大事なスキルなので、中学生のうちに英語の授業を通しても鍛えておきたいですよね。
「まとまり」指導の前に「つながり」指導を
さて、「書くこと」のほうでは、『解説』にはもう少し細かいことが書かれています。
文と文の順序や相互の関連に注意を払い,全体として一貫性のある文章を書くことを示している。「導入-本論-結論」や「主題-根拠や具体-主題の言い換えや要約」など,文章構成の特徴を意識しながら,全体として一貫性のある文章を書くことができるようにすることが重要である。さらに,出来事や事実を描写したり,考えや感想を述べたりする場合において,よりよく読み手に伝わるよう意識しながら,自分の言いたいことに最もふさわしい表現形式を工夫して書き表すことができるようにすることも必要である。(書くこと)
「一貫性のある文章」という意味では「話すこと」と変わらないことが求められているはずなのですが、「書くこと」のほうでは、パラグラフ構成というか、文と文の順序に関わる具体的な指導ポイントが挙げられています。
このような「まとまり」指導がトレンドになることに不安を覚えるのは、「まとまり(coherence)」ばかり指導されて、「つながり(cohesion)」の指導が疎かにされてしまいそうだからです。
実際、最近の英検や高校入試の問題や対策を見てみると、First, Secondのようなディスコース・マーカーを使うことなど形式的な容れ物の指導が目立ち、肝心の中身となる英文にはあまり注目されていないように思います。
私は、中学生にはまず文と文のつながり持たせる練習を、2〜3文のまとまりの中でやらせるべきだと思っています1。その中で、代名詞が適切に使えるように指導することが最初の一歩になると思います。とても地味ではありますが、生徒がさりげなくitやhimなんかが使えるようになったら、英語の表現力が一段上になったなぁと感じるはずです。上記のマーカーなんかよりも、代名詞は英文の意味がきちんとわかっていないと使えないからです。alsoなどの副詞も同様でしょう。
このような代名詞や副詞の指導という観点であれば、本来は話すこと[やり取り]などでも「つながり」指導は可能なはずです。形式的な「まとまり」指導に流されず、語や文の意味を考えながら、文をつないでいける学習者を育てていきたいですね。