こんにちは、anfieldroadです。
このNewsletter作成のために改めて学習指導要領を読み直していますが、なかなか複雑な文章で理解するのに時間がかかります。図とか表で書いてくれればいいのに、と思ってしまいます。なので、今回は勝手に表にして整理してみました。
各領域で示されている3つの段階
前号では、新学習指導要領における「五つの領域」について書きました。「話すこと」が[やり取り]と[発表]に分かれた背景と、「書くこと」だって2つに分ければいいのに、というお話でした。今号はその「五つの領域」ごとの目標について、全体像を整理したいと思います。
英語科の目標については、「五つの領域」ごとにアイウという3つの項が立てられ、目標が示されています。なんとなくですが、ア→イ→ウと後ろに行くに従って、少しレベルの高い目標になっているようにも見えます。でも似たような文言が並んでいて文章を読んだだけでは詳細を比較しづらいので、すべての領域についてマトリクス的に整理してみたのが下の表です。
こうして全体を俯瞰してみると、同じアのレベルでは、別の領域でも同じような言葉を使っているのが見えてきます。(例えば「必要な情報」という言葉が「聞くこと」と「読むこと」に存在します)
上の2つクリーム色のところがreceptiveな領域で、下の3つ水色のところはproductiveな領域になっていますが、だいたいその2つの枠組みの範囲で、それぞれ同一の文言が使われているのがわかります。ただし真ん中の「話すこと[やり取り]」はinteractiveな性質があるため、独自の文言が登場する項目もあります。
きっと文部科学省の中の人たちも、こういう表を作って左右を見比べながら、整合性をもたせようと苦心して作られた文言なのだろうなぁとご苦労が忍ばれます。もういっそ学習指導要領でもこのマトリクスで示してくればよかったのに、とも思ってしまいます。
どんな段階を踏むべきなのか?
文科省としては、それぞれの共通するフレーズにはある程度定義をしていて、「解説」では具体的に提示しています。例えば前述の「必要な情報」であれば、
「必要な情報」については,話されることの全てを聞き取ろうとするのではなく, 自分の置かれた状況などから判断して必要な情報を把握することが大切である。第2の2(3)1「聞くこと」(イ)に示す「店や公共交通機関などで用いられる簡単なアナウンス」といったものを教材に取り上げ,必要な情報を聞き取ることがで きるようにすることが考えられる。(聞くこと)
「必要な情報」については,「聞くこと」アと同じように,書かれていることの 全てを読み取ろうとするのではなく,目的に応じて,また自分の置かれた状況な どから判断して必要な情報を把握することが大切である。例えば,学校での連絡事項の中から自分が所属する委員会の活動場所を確認することや,取扱い説明書から必要としている説明を読み取ることなどが考えられる。(読むこと)
といった感じです。(ちなみに小学校の「聞くこと」では「誕生日や値段などの具体的な情報」という文言を使っていて、一応差別化を図っているようです)
ちょっと気をつけたいのは、「公共交通機関のアナウンス」とか「学校での連絡事項」みたいな例示があると、どうしてもそういう場面会話を指導するほうに頭がいってしまいそうなことです。文法的な複雑さを段階的に習得していくという意味では、むしろ①英文の中の内容語の部分が聞き取れればよい、とか、②英文の中の「目的語」の位置に注目しよう、といった指導のほうが汎用的であり、多様な素材を通して練習ができるのではないかと思います。
さて、このように各カテゴリに共通する色分け部分を個別に見ていくと面白そうなので、次号からはその中のいくつかを取り上げながら、具体的にどんなことを指導していけばよいのかを考えてみたいと思います。
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