こんにちは、anfieldroadです。
みなさま大変お忙しいので、水曜日発行のNewsletterは開封率が低くなりがちです。週末にでもまとめてお読みいただければ嬉しいです。
新しい「五つの領域」というカテゴリ
ここまで、学習指導要領における外国語科としての目標について検討してきました。その後には、外国語科の下位項目として英語科としてのより具体的な目標が提示されています。
で、このあとその五つの領域ごとの目標が示されていくのですが、今日はこの「五つの領域」について確認しておきましょう。
ご存知のように、これまではいわゆる4技能ということで、「聞くこと」「読むこと」「話すこと」「書くこと」の4つが大きな枠組みとして存在していたのですが、今回の改訂では「話すこと」を「話すこと[やり取り]」と「話すこと[発表]」の2つに分割して、全部で「五つの領域」となりました。
この背景には、これまでの中学校英語が全体的に見ると「話すこと」の指導が十分でなかったこと、また一部取り組まれていたとしても、予め書いた原稿を読み上げたり暗唱するだけの[発表]にとどまることが多い、という現状があるのかな、と推察します。
そういった現状認識は、中学校教員だった肌感覚とは一致するので、今回[やり取り]というカテゴリを新設することで、いやでもそこを指導・評価させることがねらいなのだろうと思います。
もちろん、これまでも[やり取り]をしっかり指導・評価してきた先生もたくさんいらっしゃるので、その知見はすでに十分に蓄積されていると思います。最近だと上山先生や胡子先生のスピーキング関連の書籍などが、アイデアも指導上の心構えも充実していて、参考になると思います。(画像をクリックしていただくと、amazonの詳細ページに飛びます)
「書くこと」だって[やり取り]できる!
ただ、私が気になるには、なぜ今回「話すこと」だけが2つに分けられたのか、ということです。
埼玉大学の及川先生もブログで疑問を呈してらっしゃいましたが、私も同じことを感じていました。なぜ「話すこと」だけ2つに分割したの?「書くこと」だって[やり取り]と[発表]があっていいんじゃないの?という疑問です。
「やりとり」は「話すこと」に入れていいのか?(TGIF-おいけんのブログ-)
文科省は、学習指導要領解説の中で、
小・中・高等学校で一貫した目標を実現するため,そこに至る段階を示すものとして国際的な基準であるCEFR を参考に,「聞くこと」,「読むこと」,「話すこと[やり取り]」,「話すこと[発 表]」,「書くこと」の五つの領域で英語の目標を設定している。
と書いていますが、CEFRも別に5領域で提示されていないと思うんですよね。CEFRではReception, Interaction, Productionの3つの大枠があり、それらがすべてSpokenとWrittenに分けられている、いわば6領域なんです。
Common European Framework of Reference for Languages: Learning, teaching, assessment より
だから、わざわざ「CEFRを参考にした」という文言を解説に入れているあたりも含めて、非常に恣意的な感じがします。都合よく利用している感じ。
私は、中学校においても[書くこと[やり取り]」の活動にも取り組んできたので、今回の改訂は本当に残念なんです。SNSなどが一般化してきた現代では、よりリアルなコミュニケーションの場面(英語の使用場面)になると思うんですけどね。
文字によるコミュニケーション活動「COSMOS」の紹介(英語教育2.0)
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