こんにちは、anfieldroadです。
大学入試の共通テストの問題が(いろんな意味で)話題になっています。今回の変化の背景には当然新しい学習指導要領があるのでしょうが、今年の受験生たちは現行の学習指導要領下の教育課程で学習してきたので、入試だけ先走りしているのが気になります。問題も、決定のプロセスも、検証が必要ですね。
さて、新しい学習指導要領について書くとしているNewsletterですが、序盤から私が批判的な視点で書いたパブリック・コメントを取り上げてきたため、やや狭い話ばかりで、なおかつ否定的なお話が続いてきました。ここでどんなに否定をしても、中学校での新教育課程は4月から始まるわけですから、文句ばかり言っていないで現場の先生方のために現実的な着地点も提案していかなければと思っています。
ということで、今号からは改めて新学習指導要領の文言を確認しながら、教室でどんな変化が生まれるのかを具体的にイメージしながら検討していこうと思います。
「双方向」を意識した目標
まずは、「目標」について、確認しておきましょう。
1文が長いので伝わりにくいですが、結局一番肝心なのは後半の「簡単な情報や考えなどを理解したり表現したり伝え合ったりするコミュニケーションを図る資質・能力を」育成することになります。
現行では「聞くこと,話すこと,読むこと,書くことなどのコミュニケーション能力の基礎を養う」とありましたので大きく変わっていないと思いますが、「伝え合う」という表現を入れてきたのは、これまでの目標が一方通行な感じに響くからでしょうか。(ちなみの「伝え合う」という言葉は、現行の国語科の目標に含まれている文言ですね)
これは、今回「話すこと〔やり取り〕」が追加されたこととも関係していますね。コミュニケーションが双方向であることを強調していることが伝わってきます。「話す」と「聞く」が連動して、即興的なやり取りの指導・評価が求められます。
また、「話された英語を聞く」とか「書かれた英語を読む」といった複数の技能統合的な言語活動が、これまで以上に大きく扱われるようになるでしょう。これまでも「統合的・総合的」というキーワードはありましたが、例えば現行の評価の観点では「理解の能力」と「表現の能力」に分かれていたので、こういった統合的な活動を適切に評価する観点が存在しませんでした。今回は「思考・判断・表現」という観点でこのへんを評価してあげることができそうですね。
「解説」にもありますが、今後は、
理解する
表現する
伝え合う
の3つについて活動を設定して、評価していく必要があります。とはいえ、これまでだって双方向的な活動を取り入れてきた先生は多いでしょうから、これまで授業で取り組んできたそれらの活動を改めてこの3つに振り分けて見直してみるのもよいかも知れません。
余談ですが、現行の学習指導要領に基づく評価の観点では
外国語表現の能力
外国語理解の能力
という2つのスキルが登場するのですが、「理解」より「表現」が先にあるのがなんだか気になっていました。受動的になりがちな日本の英語学習への喝としてあえて「表現」を先に出してるのかな、とかいろいろ勘ぐってみたのですが、今でも理由はわかりません。今回の解説では理解→表現→伝え合うという順番になっているので、そんな深い理由はなかったのかも知れませんね。
さらに余談ですが、「資質・能力」と打とうとするたびに、「脂質・能力」と変換する私のコンピュータに困っています。そして「打とうとするたびに」と打とうとするたびに、「ウトウトするたびに」と変換することにも…。